
「多ボタンマウスの代わりは、やっぱり多ボタンマウスじゃないと無理だった……」
これが、ロジクールの最新フラッグシップ機『MX Master 4』に22,000円を投資し、2週間格闘した末の正直な感想です。
生産終了になってしまった名機「G604」や「G700s」。これらの愛用者(通称:難民)にとって、次のマウス選びは本当に死活問題ですよね。私もその一人として、今回発売されたMX Master 4の「Actions Ring」や最新機能に一縷の望みをかけてみました。
でも、結果は「G604への出戻り」。 事務作業最強と言われるMXシリーズが、なぜ私たちのような「多ボタン信者」には合わなかったのか? 実際に使って感じた「ズレ」を正直にレビューします。
購入の経緯:歴代の相棒たちと、G604の後継不在
私のロジクール歴は、G700 → G700s → G602 → G604 と続いてきました。 正直なところ、操作感だけで言えば「G700(殉職)」が至高だったと感じています。あのボタン配置と形状は神がかっていました。

それでもG604は、その正統進化系として長年私の右腕を務めてくれました。
- 親指エリアの6個のボタン
- 手になじむグリップ感
- 単3電池駆動の安心感
これらに慣れきった身体は、一般的な「戻る・進む」だけのマウスでは仕事にならない身体になってしまっていました。 今思えば、「G604が発売された時、予備をもう一台買っておけばよかった……」と心の底から後悔しています。
そんな絶望の中で白羽の矢を立てたのが、ロジクールの事務用最高峰 MX Master 4 です。 価格は約22,000円。重量150g。 新機能「Actions Ring」による直感操作や、アプリごとの最適化機能があれば、物理ボタンが少なくてもなんとかなるんじゃないか? そう思ったのが間違いの始まりでした。
開封の儀:見た目の高級感は「さすが」の一言「
まずは、届いた実機の様子を見ていきましょう。 パッケージからも「ロジクールの最上位モデル」という自信がひしひしと伝わってきます。
箱の右上に「触覚フィードバック」というアイコンがありますね。これが今回の目玉機能の一つ。 裏面には「Actions Ring」や「MagSpeed」の文字が踊り、ガジェット好きの心をくすぐります。
付属品と外観チェック
箱を開けると、プラスチックを極力使わないエコな梱包材に包まれた本体が鎮座していました。 付属品はシンプルです。






- MX Master 4 本体
- Logi Bolt USBレシーバー
- 保証書・マニュアル類
今回、接続は従来のUnifyingではなく、より安定性が高い「Logi Bolt」になっています。 G604ユーザーとしては、Bluetoothだけでなく専用レシーバーがついている安心感はデカいですよね(BIOS画面の操作とかで必須ですし)。
本体の裏面には、初期設定用のシールが貼られていました。 マルチペアリング(Easy-Switch)は3台まで。裏面のボタン一つで接続先を切り替えられるのは相変わらず便利そうです。
シールを剥がすと、8000 DPIのセンサーがお目見え。 ガラス面でも使えるというこのセンサー、性能自体は文句なしのスペックです。
見た目は100点満点。握った瞬間「おおっ、高級車!」という感じがします。 ……この時はまだ、この後あんなに苦労するとは夢にも思っていませんでした。
合わなかった理由1:「Actions Ring」は物理ボタンの代わりにならない
MX Master 4の目玉機能である、画面上にリング状のメニューを表示して操作する「Actions Ring」。 ここに、G604の物理ボタンに割り当てていた「コピー」「ペースト」「タブ閉じ」「ウィンドウ閉じ」なんかを集約しようとしたんです。
直感的じゃないし、ワンテンポ遅い

結論から言うと、「脳の処理速度にマウスが追いついてこない」んですよね。
G604の物理ボタンなら、脳が「閉じる」と思った0.1秒後には親指がボタンを押し込んでいて、作業は完了しています。 しかし、Actions Ringの場合:
- ボタンを押す(リング呼び出し)
- (一瞬のラグ) リングが表示されるのを待つ
- カーソルを動かして選択する
- ボタンを離す
この「表示待ち」と「カーソル移動」のコンマ数秒が、何百回と積み重なると地味にストレスなんです。 さらにジェスチャー操作も試したんですが、「マウスを振った後に定位置に戻す動作」が必要になるので、そこで誤爆が連発。 ←で「タブを閉じる」、→で「ウインドウを閉じる」「タブを閉じたいだけなのに、ウィンドウごと閉じてしまった」という事故が起きた時、心が折れかけました(笑)。

合わなかった理由2:Logi Options+の「切り替え」がもたつく
ハードウェアだけじゃなく、ソフト面でもG HUBとの違いに戸惑いました。 MX Master 4は「Logi Options+」で制御して、アクティブなアプリ(Excel、Chrome、Photoshopなど)に合わせてキー割り当てを自動で切り替えてくれるんですが……。

一見便利そうに見えて、この「切り替え」がワンテンポ遅いんです。 アプリをAlt+Tabでパパッと切り替えてすぐに操作しようとすると、まだ前のアプリの設定が残っていて誤動作することがありました。 爆速でマルチタスクをこなしたいG604ユーザーにとって、この「待ち時間」はちょっと厳しかったです。
アプリ毎の切り替え機能をしようしなければいいかもしれないですが。
合わなかった理由3:150gの壁と「持ち上げにくい」形状
カタログスペックで150g。前作よりもさらに重くなっています。 「重くても滑らせればいいじゃん」という設計思想なんでしょうけど、G604ユーザーには「マウスを持ち上げて位置調整する癖」つかみ持ちをする人も多いはず。
MX Master 4はエルゴノミクス形状で「かぶせ持ち」には最高なんですが、親指や薬指の引っ掛かりが甘くて、持ち上げようとするとツルッと滑り落ちそうになります。 150gの鉄塊を、指の力だけで持ち上げ続ける2週間。手首への負担は限界でした。
結論:2週間でG604に戻っちゃいました
「22,000円もしたんだから…」と自分に言い聞かせて、2週間は我慢して使いました。 でも、明らかに仕事の効率が落ちているのを感じてしまったんです。
- 物理ボタンの「カチッ」という確証がない不安感
- 150gを持ち上げる手首の疲労
- ソフトの切り替えラグ
これらは、「慣れ」で解決できる問題じゃなかったですね。
MX Master 4を買ってはいけない人
- 親指のサイドボタン(4個以上)にショートカットを割り当てて、無意識レベルで操作している人。
- マウスを頻繁に持ち上げて位置調整する人(ローセンシ派)。
- OSの挙動(ウィンドウ操作など)をマウスだけで完結させたい人。
逆に、MX Master 4が合う人
もちろん、悪いマウスではありません。以下のような人には最高の相棒になると思います。
- 動画編集のタイムライン移動など、横スクロールを多用するクリエイター。
- ジェスチャー操作の「スマートさ」に価値を感じられる人。
- マウスを持ち上げず、手首を固定して作業するスタイルの人。
私は、チャタリングを起こしかけているG604を修理して、もう少し延命することにします。ロジクールさん、お願いですからG604の後継機を……「物理ボタン」がいっぱいついた後継機を出してください(切実)。

